日本語を英語に翻訳するとき、「あれ?こんな言葉、英語に無いぞ…」と思うことはよくあります。そいういう言葉の中には日本らしさが詰まっているものもあり、見つけると困る反面、楽しいものです。
今回はそんな英訳できない日本語を集めてみました。どうやって訳してみようかな、と思いながらご覧ください。
お疲れ様です
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ビジネスメールや職場でのあいさつとして万能な「お疲れ様」。英語のビジネスメールを書くとき、同じような表現がないので苦労しました。
相手のことを思いやる言葉って、すごく日本語らしいと思います。海外に住んでみて驚いたのは、人があまり他人を気にしないことです。良くも悪くも無関心なので、気楽な面もあればイライラすることもあります。一方で日本人は相手が望むことを先読みしたり、空気を読んだりと、相手のことをとても気にかけます。「お疲れ様」は、そんな日本人の性格が表れている言葉だと思うのです。
よろしくお願いします
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こちらもビジネスシーンで万能な表現なのですが、英語にはないです。英語って、標的を定めた表現が多いので、「よろしくお願いします」は「〇〇してください」といった具体的な言い回しになってしまいます。
「とりあえず良きに計らってくださいな」という曖昧さ。これも日本語ならではだと思います。
頑張れ!
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あえて訳すとしたら、"Do your best!"とか"Good luck!"という表現になるかと思いますが、日本語の「頑張れ!」とはちょっと違う気がします。
頑張れ。相手に発破をかける言葉ですが、日常で使う「頑張れ」には、思いやりも含まれているのではないでしょうか。この思いやり部分が、先の2つの翻訳ではうまく表現できないんですよね……。うーん、やっぱり日本語は深い。
ただいま / お帰りなさい
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家に帰ってきたときに「ただいま」「おかえり」と声を掛け合う文化は、日本特有かもしれません。英語だと"Hi!" "Oh, hi! How was your day?"のような、会話が始まる掛け合いになってしまうと思います。
とくに「お帰りなさい」を表現するのは難しいです。「お帰りなさい」には"Welcome home" や先に紹介した「お疲れ様」など、さまざまな意味が詰まっています。一言にさまざまな意味がある表現は素敵ですが、英訳時に泣かされます。
いただきます / ごちそうさまでした
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食材の命をいただきます、ごちそうさまでした。この表現も美しいというか、日本人の倫理観が出ていて好きです。
私はものを食べるときに、必ず手を合わせて「いただきます」というのですが、この行動は結構面白がられます。「どういう意味なの?」と聞かれることが多いので、上記のように説明していますが、総じて好印象です。中には真似して「イタダキマース」という人も。こうやって日本語の良さを伝えていきたいものです。
懐かしい
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一番近い英語は「nostalgic」で、ケンブリッジ英語辞典ではこのように定義されています。
(訳:過去の出来事を考えたときに感じる、幸せで少し悲しいような感情)
うーん…。近いですけど、常に嬉しさと悲しさが共存しているわけではないですよね。ほっこりするときもあれば、ただ笑い飛ばしたいときもある。「懐かしい」は思い出す内容やシチュエーションによって含まれる感情が変わるので、一概に定義できない難しい言葉だと思います。
善処します
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これは「無理です」の遠回しな表現ですが、英語圏では通じにくいと思います。"I will try it but..." なんて濁そうものなら、「あ、やってくれるんだ」と捉えられがちです。とりあえずトライしてくれるんだな、とは思われるでしょう。
しかしこの言葉は、言葉そのものの意味というよりも、発する人によって捉えられ方が変わるような気がします。割といい加減な人にこう言われたら「こいつ、やらないな」と思いますし、真面目な人が言ったら「なんとかしてくれそうだな」と思われてしまう。ちなみに筆者は後者です。損な性格です(笑)
もったいない
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ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんによって、世界的に知られるようになった言葉です。
日本人はものを大切にします。家具や服を長く使いますし、食べ物も残さないように教わります。しかし海外の人はそこまでものに執着しないというか、ものを簡単に捨てたり残したりする印象があります(もちろん、人によりますが)。
私が海外に来て驚いたことのひとつは、非常に多くの人がまだ使える家具類を平気で捨てていくことでした。粗大ごみの日になると、新品同様の家具が投げ捨てられ、見ていて少し悲しい気持ちになりました。食べ物に関しては、少し残すのが礼儀という文化もありますので、すべて食べるべきと強くは言えません。しかし、ものに関してはもっと考えて買ったり、大切に使ったりしたほうがいいと思います。
よいしょ
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ついつい出てしまう言葉なんですが…これに似た言葉を海外の人が使っているのを聞いたことがないです。席を立つときなんかは、代わりに話を切り上げる感じで "OK"、"Right"といった表現を使いますが、気合を入れるような言葉は聞かないです。
「ふんっ」って踏ん張ってるだけなような気がします…(笑)
その言語特有の言葉は、その言語の特徴や、その言語で人がものを考えるときの性格が出てくるので面白いです。もし訳せない日本語に出会ったら、その言葉の意味を深堀してみてください。面白い発見があるかもしれません。
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